昨日、鉄道にて移動いたし候。
その折、車中は大いに込み合っており申したが、拙者は、さほどの苦もなくつり革にて体を支えつつ立っており申した。むしろ、周りには疲れ切った様子の方々も見え、その方々の方こそ大事にあれと案じておった次第。
やがて、やや大きな駅にて人の入れ替わりがあり、座席がいくつか空き申した。
その折、空いた席の前に立っておられたご婦人が、この席に座られよ、と拙者にお声かけくだされたのでござる。
はじめは自分に向けられた言葉とは思わず、周囲を見渡し候えど、やはり拙者に違いなく、
面食らうて、「いや、大丈夫にござる。どうぞ御身が」と思わず申し上げてしまい申した。
その後、すぐに深く反省いたし候。拙者は後期高齢者にて、誰の目にも年寄りと映るはず。このような折は、親切を素直に受けて座るのが道理であった。
かくのごとく振る舞えば、無用に意地を張る偏屈な老人と映ったに違いなく、せっかくのご親切に水を差したこと、悔やまれてならぬ。
2025年6月29日ーこのページー2025年7月1日