今日はクリスマスイブである。本来はキリスト教徒の祭礼じゃが、日本の神と仏を祀るわが家でも、世間にならってケーキを買って祝うことになっている。子供が小さいときは、赤いブーツに菓子を入れたものと何かしらのプレゼットを買い、クリスマスツリーも飾っておったものじゃ。
クリスマスツリーで思い出したことがある。拙者が小学校に入る前のことだったと記憶しておるが、クリスマスイブの日、父上が山から拙者の背丈ほどの杉の苗木を運んできて庭に植えたのじゃ。――自分の持山ゆえ、悪いことをしたわけではない――。拙者がクリスマスツリーを欲しがってねだったそうじゃが、覚えにござらん。
せっかくの父上の働きであったが、あまり感動もなく、その後拙者は、玄関前に立つ杉がクリスマスツリーとして植えられたことをすっかり忘れておった。
拙者が中学生になった頃には、その杉がいかにも大きくなり、軒のすぐ近くだったので邪魔になって伐採することになった。ある日、学校から戻ったら木が消えておって、その時に急に、「ああ、これは父上がクリスマスツリーとして植えてくれたものだった」と思い出したのであった。
さて今日は、時折小雨が降る、曇りがちの一日であった。気温は七度まで上がった。この時期としては暖かい。
