柿ジャムの作り方
柿の優しい甘さを活かした、基本的な作り方をご紹介します。柿ジャムはトーストはもちろん、ヨーグルトや紅茶に入れても美味しいですよ。ぜひ試してみてください。
柿はペクチン(とろみのもと)が少ない果物なので、レモン汁と砂糖を加えて、煮詰めすぎないよう仕上げるのがポイントです。
材料の準備
| 材料 | 分量(目安) | 備考 |
| 柿(完熟した甘柿) | 500g | 熟しすぎて柔らかくなったものも使えます。 |
| 砂糖 | 柿の重さの30%〜40% | 150g〜200g程度。お好みで調整してください。 |
| レモン汁 | 大さじ2 | 色止めととろみを引き出すために使います。 |
| 水 | 大さじ2〜3 | 焦げ付き防止のため、最初に入れます。 |
ポイント: 砂糖の量が少ないと保存性が低下します。長期保存したい場合は、40%程度の砂糖を目安にしてください。
柿の処理
- 柿の皮をむく: 柿の皮をむき、ヘタを取り除きます。
- 種を取り除く: 種があれば丁寧に取り除きます。
- カット: 柿を適当な大きさにざく切りにします。仕上がりの食感を残したい場合は大きめに、滑らかにしたい場合は細かく切ります。
【滑らかにしたい場合】: この時点でブレンダーやマッシャーで粗く潰しておくと、後の調理時間が短くなります。
煮込み
- 加熱: 厚手の鍋にカットした柿、砂糖、水(大さじ2〜3)を入れます。
- 砂糖を溶かす: 中火にかけ、焦げ付かないように時々かき混ぜながら、砂糖を完全に溶かします。
- 煮詰める: 沸騰したら火力を弱火にし、アク(泡)をすくいながら煮詰めていきます。
- 時間: 煮詰め始めてから20分〜30分程度が目安です。
- ポイント: 煮ている間に柿が崩れ、全体にとろみが出てきます。
- レモン汁を加える: 鍋を火からおろし、レモン汁(大さじ2)を加えて全体を混ぜます。
【とろみの確認】: 煮詰めすぎると冷めた時に硬くなりすぎるので注意が必要です。スプーンの背で鍋底をなぞって、道ができる程度のとろみがついたら火を止めます。
瓶の入手
ジャム瓶や食品保存用のガラス瓶は、身近な場所から専門的な場所まで様々な店舗で販売されています。
100円ショップ:
手軽さ、安さ重視。小さめのジャム瓶、調味料瓶などが豊富です。
ホームセンター:
大容量、密閉性重視。梅酒やピクルスに使える大きな瓶や、密閉性の高い保存容器が見つかります。
雑貨店・量販店:
デザイン性重視。おしゃれで個性的な瓶や、機能的な保存容器があります(東急ハンズ、ロフト、無印良品など)。
スーパー・ドラッグストア:
季節によっては、果実酒やジャム作りコーナーが設けられ、保存瓶が並ぶことがあります。
通販サイト:
品揃え、まとめ買い重視。Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどでサイズ、デザイン、ロットを自由に選べます。
ご自宅から近く、目的に合った場所で購入してください。
保存瓶の煮沸消毒方法
ジャムを長期保存するために、瓶の雑菌を殺菌する煮沸消毒は非常に重要な工程です。ガラス瓶は急激な温度変化に弱いため、正しい手順で行ってください。
準備するもの
- 保存瓶、蓋(金属製、ゴムパッキンなどは分解)
- 瓶が入る大きさの鍋
- 清潔な布巾(鍋底に敷く用)
- トングまたは菜箸(熱い瓶を取り出す用)
- 清潔なキッチンペーパーまたはザル(乾燥させる用)
手順
1. 洗浄
瓶と蓋を台所用洗剤とスポンジで丁寧に洗い、水でよくすすぎます。
2. 鍋にセットする(水から加熱が必須)
- 鍋底に清潔な布巾を敷きます(瓶が鍋底に当たって割れるのを防ぐため)。
- 洗った瓶を静かに鍋に入れ、瓶が完全に浸るくらいの水を注ぎます。
最重要: 必ず水の状態から瓶を入れて加熱を開始してください。熱湯に冷たい瓶を入れると温度差で割れてしまいます(熱衝撃)。 - 金属製の蓋やゴムパッキン(耐熱性があるものか確認)も一緒に入れます。
3. 煮沸する
- 鍋を中火にかけ、ゆっくりと加熱します。
- 沸騰したら、火を弱火にして5分から10分間煮沸します。
- ポイント: ゴムパッキンなど、熱に弱い部品は変形を避けるため、沸騰後2~3分で先に取り出すと安心です。
4. 取り出しと乾燥
- 火を止め、トングや菜箸を使って瓶と蓋を鍋から丁寧に取り出します。※やけどに十分注意してください!
- 清潔な布巾の上やザルに、瓶の口を下にして伏せて置きます。
- 自然乾燥で、水滴がなくなるまで完全に乾かします。ポイント: 雑菌が付くのを防ぐため、布巾などで拭かずにそのまま乾かしてください。
消毒の注意点
プラスチック製の蓋やパッキンは、煮沸消毒ができない場合があります。その際は、アルコール(食品用アルコールやホワイトリカー)を吹きかけて拭き取る方法で消毒してください。
瓶詰め
熱いうちにジャムを瓶の口ぎりぎりまで詰めます。ジャム(中身)が熱い状態で詰める場合は、瓶も熱いうちに取り出して(水気が残っていてもOK)、すぐに詰めてください。冷たい瓶に熱いジャムを入れると、やはり瓶が割れる原因になります。
脱気
ジャムを瓶に詰めたら直ぐに「脱気」を行います。
脱気とは、保存瓶内の空気を追い出して密閉することで、食品の変質やカビの発生を防ぐための処理です。
1. 脱気の目的
脱気の主な目的は以下の2点です。
- 雑菌の繁殖抑制:
- 空気中にはカビや酵母などの雑菌が存在します。脱気により、瓶内の酸素を減らすことで、これらの好気性菌(酸素を必要とする菌)の活動を抑制し、食品の腐敗やカビの発生を防ぎます。
- 長期保存の実現(密封状態の維持):
- 脱気により、瓶の内部が外部よりも気圧の低い真空状態に近くなります。これにより蓋が内側へ強く引っ張られて密着し、外部の空気が入らない完全な密封状態(未開封状態)が長く保たれます。
2. 脱気の仕組み
熱いジャムを詰めて蓋をすると、以下のプロセスで脱気が行われます。
- 加熱による空気の膨張: 熱いジャム(80℃以上)を瓶に詰めると、瓶内の空気も温められ、大きく膨張します。
- 熱いうちに密閉: 熱い状態で蓋を閉めることで、膨張した空気が外に逃げ道を探します。
- 冷却による収縮と密着: 瓶を逆さまにして冷ますと、瓶内の空気やジャムが冷えて体積が収縮します。この収縮により、瓶の内部の気圧が急激に低下し、外部の気圧に押されて蓋が瓶に強く密着します。
- 「ポン」という音: 開封時に「ポン」という音がするのは、この密着していた蓋が外れ、内外の気圧差が解消された音であり、脱気が成功していた証拠です。
3. 脱気処理の具体的な手順
| 手順 | 詳細な動作 | 成功させるポイント |
| ① 熱いうちに詰める | 煮沸消毒した瓶に、熱い状態(85℃以上推奨)のジャムを、瓶の口ぎりぎりまで(縁から1cm程度の隙間まで)入れます。 | 冷たい瓶に熱いジャムを入れると割れるため、瓶が熱いか、同程度の温度であることを確認します。 |
| ② 縁を拭き取る | 瓶の口の縁にジャムが付着していると密閉不良の原因になるため、清潔な布巾やキッチンペーパーできれいに拭き取ります。 | 縁に付着物が残っていると、そこから空気が漏れる可能性があります。 |
| ③ 蓋を締める | 蓋をすぐに締め、きつく、しっかりと密閉します。 | 蓋が緩いと脱気効果が半減します。 |
| ④ 逆さにして冷ます | 蓋を下にして瓶を逆さまにし、そのまま布巾などの上で完全に冷めるまで放置します。 | 完全に冷めるまで触らないことが重要です。内部の空気が収縮し、蓋がしっかり密着します。 |
| ⑤ 確認 | 瓶が冷めてから、蓋の中央部を指で押してみて、へこんでいれば脱気成功です。 | 完全に平らになっているか、へこんでいる状態が保たれていればOKです。 |
この脱気処理を行うことで、ジャムの長期保存が可能となります。特に手作りのジャムは、このひと手間をかけることで安心して楽しむことができます。
柿ジャムの保存期間
目安
柿ジャムの保存期間は、作った際の砂糖の量と、保存方法によって大きく異なります。適切な手順(特に煮沸消毒と脱気)で行えば、比較的長く保存することが可能です。
| 保存状態 | 保存場所 | 保存期間の目安 | 重要なポイント |
| 未開封(脱気処理済み) | 冷暗所(常温) | 6ヶ月 〜 1年 | 砂糖の割合が40%以上で、煮沸消毒と脱気処理が適切に行われていることが前提です。 |
| 未開封(脱気処理なし) | 冷蔵庫 | 2ヶ月 〜 3ヶ月 | 砂糖の割合が30%程度など控えめな場合は、冷蔵保存が安心です。 |
| 開封後 | 冷蔵庫 | 2週間 〜 1ヶ月 | 毎回、清潔で乾いたスプーンを使って取り出してください。 |
長期保存のポイント
- 砂糖の役割: ジャムの砂糖は甘さだけでなく、水分を抱え込んで雑菌の繁殖を防ぐ防腐剤の役割も果たします。砂糖の量が少ない(30%未満など)と、保存期間は短くなり、冷蔵庫での保存が必須となります。
- 煮沸消毒と脱気: 前の回答で詳しくお伝えした通り、瓶の煮沸消毒と、熱いジャムを詰めて蓋を閉め、逆さにして冷ます脱気(脱泡)処理は、未開封で長期保存するための必須条件です。この処理を行うことで、瓶内が真空状態に近くなり、菌の増殖を防ぎます。
- 清潔なスプーン: 開封後、ジャムを取り出す際に、濡れたスプーンやパンくずなどが付いたスプーンを使うと、そこから雑菌が繁殖し、カビが生えたり劣化したりする原因となります。常に清潔で乾いたスプーンを使ってください。
食べる前に確認すべきこと
保存期間内であっても、食べる前には必ず以下の点を確認してください。
- カビ: 表面に青や緑、白いフワフワしたカビが生えていないか。
- 変色・異臭: 明らかに色が変化していたり、酸っぱいなどの不快な臭いがしないか。
- 発酵: 蓋を開けたときに「プシュッ」とガスの抜ける音がしたり、泡が出ていたりしないか(発酵している可能性があります)。
これらの異変が見られた場合は、安全のため食べるのを控えてください。