昨日、何気なくテレビを眺めていたら、日本酒の「古酒(こしゅ)」についての特集が流れていた。日本酒の古酒といえば、要するに古い酒のことであろう。それが一部では、稀少なものとして珍重されているということに、私は少なからぬ衝撃を受けた。
私にとって、日本酒とは「新しければ新しいほど良い」ものであった。かつて晩酌を欠かさなかった頃は、常に製造年月日の新しいものを買い求め、鮮度が落ちぬうちに飲み切ることを信条としていた。もしうっかり飲み忘れて色が付き始めたものがあれば、それはもはや嗜好品としての役目を終えたものと見なし、料理酒へと「格下げ」するのが常であった。
日本酒は古くなると、独特の色を帯びてくる。それを愛好家は「琥珀色(こはくいろ)」と美しく称えるようだが、これまでの私の感覚では、それは単なる「劣化」のサインでしかなかった。
しかし、長年培ってきた自分の常識の外側に、それを楽しみ、価値を見出す世界があるのだと知り、認識を改めざるを得ない。もしこの「古酒」という文化が世に広く定着すれば、酒蔵や小売店にとっても「売れ残り」の不安が軽減されるのではないか。時間の経過が「損失」ではなく「付加価値」へと変わるのであれば、日本酒の商いのあり方そのものが、より合理的で豊かなものへ変貌していくのかもしれない。
青空ではなかったが暖かい一日だった。
