柿の葉茶の作り方
柿の葉茶は、ビタミンCやポリフェノールが豊富で、自宅で手軽に作れる健康茶です。特に、熱に強いプロビタミンC(アスコルビン酸オキシダーゼ)が含まれているため、煮出しても栄養が壊れにくいのが特徴です。
葉の採取と準備
自宅で作る、基本的な柿の葉茶の作り方(蒸して乾燥させる方法)を説明します。
- 採取時期: 5月下旬〜7月上旬頃の、若くて病害虫の被害がない、緑色が濃くハリのある葉を選んで採取します。この時期の葉は、ビタミンCをはじめとする栄養価が豊富で、茶にしたときの風味も良好です。
- 洗浄: 採取した葉を流水で1枚ずつ丁寧に洗い、表面の汚れやホコリを落とします。
- 水切り・陰干し(予備乾燥): 洗った葉をザルなどに広げ、風通しの良い日陰で2〜3日ほど干し、表面の水分をしっかり飛ばします(半乾きの状態)。
葉の加工(刻み・蒸し)
- 刻む: 半乾きになった葉の太い葉脈(中央の軸)を取り除き、葉を3〜5mm幅程度の細切りにします(ハサミや包丁を使います)。細かく刻むことで、後の工程で成分が出やすくなり、お茶として飲みやすくなります。
- 蒸す(必須工程): 刻んだ柿の葉を蒸し器に入れ、沸騰した湯で1〜2分ほど蒸します。蒸すことで、葉に含まれる酵素の働きを止め(殺青)、色と香りを保ちます。また、柿の葉の渋みが減り、飲みやすくなります。
- 水分の除去: 蒸し終わったらすぐにザルや広い容器に移し、うちわや扇風機で手早く扇いで熱と水蒸気を飛ばします。
乾燥(本乾燥)と完成
- 乾燥: 蒸して熱を取った葉を、新聞紙や布、ザルなどに薄く広げ、風通しの良い日陰で完全に乾燥させます。
- 時間: 天候によりますが、2〜5日程度かかります。
- 状態: 手で握ってパリパリと音を立てて崩れるくらい、完全に乾燥させることが長期保存のポイントです。
- 保存: 完全に乾いたら、光と空気を遮断できる密閉容器に入れ、冷暗所で保存します。
柿の葉茶の淹れ方
完成した柿の葉茶は、煮出すのが一般的ですが、急須でも淹れられます。
煮出す場合(おすすめ)
成分をしっかりと抽出するには煮出すのが最適です。
- 分量: 乾燥した柿の葉 5g〜10g(大さじ2〜3杯程度)
- 水: 約 1リットル
- 手順: 鍋に水と柿の葉を入れ、沸騰したら弱火にして10〜15分ほど煮出します。お好みの濃さになったら火を止め、茶こしで濾してお召し上がりください。
急須で淹れる場合
- 分量: 乾燥した柿の葉 3g〜5g
- 手順: 急須に入れ、熱湯を注いで5〜10分ほどしっかり蒸らしてからお飲みください。
柿の葉茶の保存
乾燥させた茶葉(未開封)の保存期間
湿気と光を遮断し、完全に乾燥させて、密閉容器に保存すると1年くらい保ちます。ただし、時間が経つと風味は落ちます。
- 完全乾燥: 保存前に、葉が「パリパリ」と音を立てて崩れるくらい、徹底的に乾燥させてください。乾燥が不十分だと、カビが生える最大の原因となります。
- 密閉保存: 湿気と酸素は劣化の最大の敵です。光も避けるため、遮光性のある密閉容器に入れ、冷暗所(戸棚の中など)で保存してください。
一度でも開封すると空気に触れるため、酸化が進み風味が落ちやすくなります。早めに消費することをおすすめします。
煮出したお茶(液体)の保存期間
一度煮出した柿の葉茶は冷蔵庫に入れてください。
- 素早く冷却: 煮出したお茶は、常温に長時間放置せず、粗熱を取ったらすぐに冷蔵庫に入れてください。雑菌の繁殖は温度が高い状態が最も進みます。
- 清潔な容器: 保存には、煮沸消毒した清潔なガラス瓶や、密閉できる冷水筒などを使用してください。
- 風味の維持: 2~3日を過ぎると、風味や香りが落ちてきます。できるだけ早めに飲み切ることをおすすめします。
安全のためにも、煮出したお茶は作り置きしすぎず、できるだけ早く飲み切るのがベストです。
葉を採取するときの注意点
柿の葉茶を作るために葉を採取する際、採りすぎると柿の結実や果実の生育に悪影響を及ぼす可能性があります。
柿の葉は、光合成を行って果実を成長させるための栄養(糖分)を作り出す工場のような役割を担っているため、葉が少なすぎると十分な栄養を実に送ることができなくなります。
結実への影響
- 光合成能力の低下: 葉を取りすぎると、その木の光合成能力全体が低下します。その結果、果実を大きくし、甘くするために必要なデンプンや糖分が不足してしまいます。
- 栄養の奪い合い: 柿は、葉で作られた栄養を「実の肥大」と「来年の花芽の形成」に主に使います。葉が不足すると、どちらの機能にも十分な栄養が行き渡らず、実の品質低下や翌年の実付きが悪くなる原因となります。
採取のコツ
実を収穫する柿の木から葉を採取する場合は、以下の点に注意してください。
① 採取時期を考慮する
- 避けるべき時期(果実肥大期): 6月〜8月上旬の果実が急激に大きくなる時期は、最も葉の働きが必要な時期です。この時期の過度な葉の採取は避けてください。
- 推奨される時期(最盛期): 柿の葉の栄養(特にビタミンC)が最も豊富になると言われるのは、5月下旬〜7月上旬頃の、葉が十分に展開し、まだ若々しい緑色の時期です。この時期に、量を控えめにして採取するのが良いでしょう。
② 葉を採る枝を選ぶ
- 理想的な枝: 実が付いていない「徒長枝(とちょうし)」や、樹の内部に入り込んでいる不要な枝の葉を選んで採取するのが理想的です。
- 実の周りの葉: 実が付いている短枝の葉は、その実の生育に直接関わっているため、基本的に触らないようにしてください。
③ 採取する量を制限する
葉の量を限定して採取するようにしてください。特に、木の生長がまだ若い場合や、実を大きくしたい場合は、より少量に留めるべきです。
