日記

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2025年6月19日 木曜日

拙者がまだ若かりし折――と申しても、かれこれ五十年も昔のことでござるが――とある商家に奉公いたしておった。そなたらの言うところの「会社」というものにて候。その頃は、今でこそ当たり前のようにござる「冷房なる品」、これが御座候はざる時代でな。い...
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2025年6月18日 水曜日

拙者がまだ幼き折のこと。住まいは山間の寒村にて、いまだ世は今のように機械の世にあらず、馬こそが人々の足と荷運びの頼みであった。道を歩けば、田畑より戻る馬、あるいはこれから田畑へ向かう馬とすれ違い申す。無論、「トラック」なる鉄の駄馬もおったが...
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2025年6月17日 火曜日

かの菓子をご存じか。小麦粉を水で溶いた生地を鉄板に敷き、頃合いを見て餡(あん)を入れ、再び生地で蓋をして焼き上げるものよ。これが、同じ菓子でありながら、土地々々で呼び名が異なるという。拙者の住まうこの地では「おやき」と呼ぶ者が多く、次いで「...
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2025年6月16日 月曜日

近頃、詐欺なる不埒者の所業、巷にて跋扈しておるとの噂、あちこちにて耳に致す。中でも、御上の役人――つまりは同心や与力のふりをする輩が増えておるとのこと。明日は我が身、とは申すものの、拙者はもともと用心深き性分にて候。そもそも、若き折に一度大...
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2025年6月15日 日曜日

昨夜より、寝所にて蚊遣りの電気仕掛けなる器を用い始め申した。これ、昨季の終わり頃に箱に収め、納戸へと仕舞いおいた物にて候。されど、いざ取り出してみれば、その箱の底より、昔ながらの渦巻き形の蚊遣り線香が一箱現れ候。思えば、今を去ること三十年ほ...
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2025年6月14日 土曜日

本日は、網戸の張替えなる大事がござりました。とは申せ、拙者はあくまで手伝い役ゆえ、さほど骨が折れたということもござりませぬ。古き網をサッシの枠より剥がした折――突如、嚔(くさめ)を連発いたしましてな。どうやら、長らく貼りついておった花粉が、...
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2025年6月13日 金曜日

近ごろ、「Gemini」なる不思議な道具に問いを発することが多うなっております。何を尋ねようとも、たとえ浅薄の極みなる問いにてあろうと、嘲られることも、侮られることもござりませぬ。重ねて問うても、呆れた様子もなく、たんたんと答えを示してくれ...
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2025年6月12日 木曜日

この頃、理髪所にはとんと足を運んでおりませぬ。最後に参ったのは、昨年の霜月――すなわち十一月のことで、それ以来、早や半年以上が過ぎ申した。と申しても、伸び放題というわけではござらぬ。拙者、自ら髪を刈っておる次第にて。出立し、店に着いてしばし...
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2025年6月11日 水曜日

長らく使い込んでおる書見机(しょけんづくえ)――すなわち、パソコンと申す道具にて候えども――の、文字盤なるものの文字が、近頃めっきり薄れて参りました。中には、もはや何も読めぬ鍵(キー)もあり、いかにも使い込んだ跡と申せましょう。それゆえか、...